「火口のふたり」のあらすじ・ネタバレ・ラスト

ヒューマンドラマ

「火口のふたり」のあらすじ

「火口のふたり」は、2019年に公開された白石一文原作の同名恋愛・官能小説の映画化作品です。

『幼な子われらに生まれ』などで知られている脚本家の荒井晴彦が、監督と脚本を務めています。

東日本大震災から7年経ったある日、家庭や仕事など何もかもを失った賢治は、故郷である秋田に帰ってきました。

その目的は従姉妹で過去に恋人関係だった直子の結婚式に出るためでしたが、久しぶりに再会した2人は、かつてのように身体を重ね合う仲になってしまうのでした。

主な出演者

監督:荒井晴彦 出演:柄本佑(永原賢治)、瀧内公美(佐藤直子)、柄本明(賢治の父の声)、ほか

かつて愛した直子に呼ばれ帰郷する賢治

ある日、東京に住んでいる永原賢治が川で釣りをしていると、突然父親から従妹である佐藤直子が結婚するという連絡が入りました。

直子は賢治と従兄妹同士という関係であり、よく見知った間柄でもありました。

彼女は賢治に、自分の結婚式にぜひ出席してほしいというのでした。

 

それを機に、賢治は久しぶりに故郷である秋田県の実家へと帰ります。

実家とは言え、賢治の母親は他界しており、父親は既に他の女性と再婚しているので空き家同然でした。

時は東日本大震災から7年目で、当時賢治が勤めていた会社は災害の影響で潰れて、失業していました。

 

それから賢治はほぼ無職のような状態で毎日ぶらぶらしており、妻や娘ともうまくいかなくなった末に離婚しています。

実は賢治と5歳年下の直子は、かつて深く愛し合っていました。

秋田から東京へ出た賢治は自分を追いかけて上京した直子と深い仲になったものの、従兄妹同士であることに負い目を感じ、結局別れてしまったのでした。

再び関係に火が付く賢治と直子

直子の結婚相手は、防衛大卒の自衛官というエリートで、既に500万円をかけて新居を購入していました。

賢治は、直子に頼まれて新居へ家具を運び入れる作業を手伝っていました。

その際、賢治は直子の実家へ行き彼女のアルバムを見るのですが、そこには2人が付き合っていた当時のモノクロ写真がたくさん入っていました。

 

賢治が25歳、直子が20歳とまだ若い2人は、写真の中で欲望を剥き出しにして互いの体を重ねていました。

過去を思い出していると、ふと直子が、私の体が懐かしくなったことはないのか、と賢治に尋ねます。

20代だった賢治は従妹である直子と関係を持つことをまずいと思い、他の女に手を出した末に子どもができ、その女性と結婚してしまったのです。

 

直子も賢治の気持ちを察し、大人しく故郷へ帰ったのでした。

そんな2人でしたが、賢治は直子に呼び止められ誘われるままに再び関係を持ってしまいます。

現在、直子の婚約者は出張しており留守でした。

その日から賢治たちは連日会うようになり、ついには婚約者が戻るまでの数日間、新居で一緒に住み始めます。

火口のポスターの前で撮った写真

賢治は、直子が突然結婚を考えたことを不思議に思っていました。

彼が訪ねると、直子は「子どもがほしくなったから」だと話します。

子宮の病気が発見された直子には、出産までの猶予がさほどなかったことも理由の一つだったのです。

 

2人は限られた期間、直子の新居で一緒に寝起きして食事を取り、体を重ねました。

ある時、賢治は再度直子に「どうして結婚するのか?」と問いかけます。

彼女は子どもがほしいことに加え、結婚相手と一緒にいたいからだと説明しました。

 

しかし納得のいかない賢治は、子どもを産むことだけを目的とした結婚なんて不純だ、と言い放つのでした。

直子は賢治に、自分には子どもがいるくせに私を責めるのはおかしい、と主張します。

賢治は直子を捨て他の女性と子どもを作って結婚し、さらに別の女と不倫をしたことが原因で離婚した身でした。

 

直子は賢治と付き合っていた当時、彼が浮気をしたことに気付いていたと言います。

賢治が、後に妻となる女性と初めて関係を持った日、彼は部屋に飾ってある富士山の火口のポスターの前で直子と裸の写真を撮りました。

そして彼女に「火口に飛び込み心中しよう」と言い、2人は別れることになったのでした。

日本の終わりに2人がした選択

賢治の浮気に気付いた直子は、当時秋田へ帰ることを選択しましたが、「体の言い分を聞くべきだった」と悔やんだと言います。

直子は賢治の結婚生活はダメになるだろうと思っていましたが、彼と居続けることで自分が際限なく欲望に溺れていくのではないかと恐かったのです。

 

彼女が秋田に戻った後、生前に賢治の母親は、賢治と直子が結婚すればいいのにと話していたそうです。

それを知った賢治は、「どうして言ってくれなかったのか」とホテルの部屋で亡き母を責めるのでした。

その後、賢治は父親から、直子の結婚式が突然流れたと聞きます。

 

表面的には、結婚相手の自衛官としての仕事が忙しくなったためだと言う話でしたが、賢治は自分との関係がバレたせいではないかと心配します。

賢治を新居に呼び出した直子は、富士山の火口のポスターを見せて2日後に富士山が噴火するらしいと告げます。

 

彼女は、結婚相手のパソコンに入った機密情報を盗み見てそれを知り、相手に責められたことで破局したのでした。

富士山が噴火すれば、日本は終わってしまうかもしれません。
賢治と直子が最後に決めたのは、ただ「体の言い分に従う」ということでした。

映画ライターもじゃの一言

ほとんど全編が賢治と直子のラブシーンで、ほぼ主役の2人しか登場しないという衝撃作ですが、意外にも女性の支持者が多いそうです。

ただ、人によって好き嫌いがはっきりと分かれる映画だと思いました。

若い頃、賢治と直子が撮った裸の写真は写真家の野村佐紀子さんが手掛けたものだそうで、モノクロのためか芸術的に見えます。

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