「日本のいちばん長い日」のあらすじ
2015年の半藤一利の「日本のいちばん長い日 決定版」を原作として、1967年の映画をリメイクしたものです。
1945年8月15日の終戦日、一体何が起きていたのでしょうか。
原爆を落とされて日本中が瀕死になっていても、戦争継続を叫ぶ人と戦争を終わらせるべきと叫ぶ人と両方がいました。
終戦から約70年が経った2015年に、改めて70年も前の大きな決断に迫る作品です。
主な出演者
役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、山崎努ほか
鈴木貫太郎、内閣総理大臣に就任
太平洋戦争も、いよいよ終盤にさしかかった1945年のことです。
戦争に負けるとは誰一人も思っていなかった日本国民でしたが、アメリカ率いる連合国側の強さははかりしれないほどで、とても強くて恐ろしいものでした。
それでも日本軍は絶対に勝てる、勝てる自信がある、と意気込んでいました。
戦争が続くと、連合国のアメリカと大日本帝国の戦力の差が、ますます激しくなっていきました。
そして日本の運命が泥沼へと突入していきます。
東條内閣そして小磯内閣が総辞職した後から、この物語が始まります。
組閣の命は、77歳の鈴木貫太郎により下ることになりました。
鈴木貫太郎は既に年老いていて大変耳が遠いために、とても大役が務まるような人物ではありませんでした。
そして彼はその下りを、一度は辞退することになります。
しかし、昭和天皇の強い希望で、意思を枉げて内閣総理大臣へと就任することになります。
ポツダム宣言
連合国側から、ポツダム宣言をすぐに受諾するように、と通告がありました。
内閣はこれを素直に受け入れるべきか、黙殺するべきかで紛糾してしまいます。
阿南惟幾陸相をはじめとした陸軍の軍人は、まだ日本はこの時点では負けていないと主張しました。
このまま引き下がってもしょうがない、やれるまでやるという意気込みで、本土決戦まで持ち込むべきだと主張したのです。
いろいろ議論されて、結論がなかなか出ませんでした。
そんな議論が続く中で、日本にとって今でも忘れられない記憶がきたのです。
運命の8月のことでした。
8月6日に広島に、8月9日には長崎に、アメリカが原爆を投下したのです。
とてもおぞましい光景でした。
軍人だけでなく、民間人である長崎と広島の住民が原爆に吹き飛ばされ、生き残った者たちは被ばくに遭い、激しい苦痛の中で亡くなっていきました。
連合国は容赦なく、なんでもありの様相を呈していました。
太平洋戦争終結
ついに御前会議が開かれることになりました。
そして天皇の聖断によって、太平洋戦争を終結させる決定が下ったのでした。
しかし、戦争を終わらせることに大きく反対した陸軍の若手将校たちが、クーデターを画策したのです。
畑中健二少佐を中心にして、決起遂行の計画が着実に前へ前へと進んでいきました。
陸軍の内部でも、クーデター部隊の暴走をすぐに止めることはできませんでした。
そして森近衛師団長が、畑中少佐らによって殺害されてしまいます。
その後に、畑中少佐たちは宮内省の役人などを、次から次へと軟禁していきます。
天皇が終戦の詔書を録音した玉音放送のレコードを奪うために、放送協会に進入してきて暴挙を展開しました。
そんな時、遂に聖断は下り、戦争の終結が決定したことから、責任を取るため阿南陸相は静かに心の中で自刃を決意していたのでした。
多くの軍人の命だけではなく、2つの原爆により多数の日本国民を犠牲にしてしまい、一死をもって大罪を謝し奉るという遺書を書きました。
1945年8月15日の早朝に、阿南陸相は自刃を遂げたのでした。
終戦
宮内省の人々の努力によって、玉音放送のレコードも無事に守られました。
クーデターを画策していた畑中少佐をはじめとした将校も降伏して、終戦となりました。
そして畑中少佐をはじめとした多くの若手将校も、拳銃で自害を遂げたのでした。
玉音放送が流れる中で、映画は終わります。
映画ライターりょうの一言
本作品については、何よりキャスティングがとても素晴らしいです。
戦争映画では、キャスティングがこんなに魅力的だと思ったことは今までありません。
役所広司さんや山崎努さんなど、ベテランで実力派の俳優はとても重要です。
しかし彼らの演技力でさえも、戦争映画のインパクトには勝てない事が多くて、実際そんなベテランだからということは必要でもないのです。
この映画のキャスティングの一番の魅力は、天皇役の本木雅弘さんです。
今までの戦争映画での天皇は、あまり姿を直接見せなかったりして、本人に似せて演技をするようなことが多かったのです。
もしかしたら有名すぎる俳優が天皇役を演じると、俳優のイメージが先行して、きちんと天皇の存在意義を、うまく表現出来ないからなのかもしれないと推測してしまいます。
本木雅弘の演技は圧倒的な存在感で、まさに天皇そのものでした。
すごく不思議と顔立ちや仕草、そして目の表情までも、テレビで見たことのある昭和天皇そのものでした。
勇気あるキャスティングには脱帽してしまいました。
一つ間違えたら、天皇よりもシブガキ隊のもっくん感が強くなり、きっと全く違う評価をしていたに違いありません。
戦争映画で、こんな俳優メインの映画だと、歴史を知らない若い世代も十分に楽しんでもらえるかもしれません。
日本人はまず自国を見て、もっと知るべきであると思います。
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