「彼女がその名を知らない鳥たち」のあらすじ
「彼女がその名を知らない鳥たち」は2017年に公開された映画です。
沼田まほかる原作の小説「彼女がその名を知らない鳥たち」を映画化した、衝撃のミステリーサスペンスです。
何のとりえもない下品な男と同棲しながら、既婚者のと不倫に走る十和子、失踪した元恋人を巡り衝撃の過去が明らかになるストーリーが展開します。
主な出演者
監督:白石和彌 出演者:蒼井優(北原十和子)、阿部サダヲ(佐野陣治)、松坂桃李(水島真)、村川絵梨(國枝カヨ)、竹野内豊(黒崎俊一)ほか
十和子は陣治と同棲していたが性格が気に入らない
生き甲斐もなく、自墜落な日々を送っている北原十和子は、建設現場で働く佐野陣治と同棲していました。
陣治は十和子に一途で優しい男性なのですが、取り柄がなく不潔で男らしくない面があり、十和子はそんな性格が気に入りませんでした。
しかし、ろくに働きもしない十和子は、生活費と家事のすべてを彼に頼っていたため、別れることが出来ません。
8年前に別れた恋人の黒崎俊一と楽しい日々を送っていたのが忘れられない十和子は、ある日姉の美鈴に呼び出されました。
美鈴は子供と夫のいる幸せな家庭を築いていて、十和子のことを心配していました。
美鈴は十和子に陣治と上手くいっているのかと尋ねると、十和子は「陣治とはそんな仲ではない」と言います。
美鈴は「黒崎さんのことをまだ引きずっているの?」と驚きました。
十和子は黒崎から暴力を受けていたこともあり、十和子のことが心配になります。
しかし、黒崎からもらったダイヤのピアスをしていなかった十和子を見て、美鈴は少しホッとしました。
十和子はダイヤのピアスのことをすっかり忘れており、家に帰って探し回りました。
ダイヤのピアスはアクセサリーが入っていた場所ではなく、小銭を溜めていた瓶に入っていたため、十和子は首をかしげます。
そんな時、十和子のお気に入りの腕時計が故障してしまったので、デパートに修理を依頼しました。
その腕時計は既に生産終了となっていたため、修理は出来ないと言われてしまいます。
十和子はデパートにクレームを入れ、彼女のもとに担当社員の水島真から電話がかかってきました。
「家までお詫びに伺いたい」という水島に、十和子は「思い出の品で、代わりの効かない時計なんです」と怒って電話を切ってしまいました。
その後、デパートを訪れた十和子は水島の容姿が気に入り、家の中を片付けて彼を家に招き入れることにします。
水島と関係を持ってしまった十和子
水島は十和子の家を訪れ、時計は修理できないので代わりに新しい時計を持ってきたと言いました。
しかし、水島が持ってきた腕時計の中に気に入ったものがなかったため、「誠意が感じられない」と十和子は泣き出してしまいます。
水島は泣き出してしまった十和子の頬をそっと触り、不意にキスしました。
「来週の同じ曜日にまた来ます、それまでに考えておいてください」と言って、水島は帰っていきました。
後日、十和子はデパートで働いている水島に会いに行きました。
水島は自腹で買った時計を十和子にプレゼントして、2人はそのままホテルで結ばれます。
ベッドで語り合っていると水島が既婚者ということを知るのですが、その後も2人は何度も体の関係を持ち不倫関係を続けました。
その夜、遅くに帰ってきた十和子が心配になった陣治は、美鈴に連絡を入れていました。
翌日、美鈴が家にやって来て「黒崎さんとまた会ってるの?」と十和子に尋ねます。
美鈴は陣治に頼り切った生活をしている十和子を叱り、美鈴に尋ねられたことで黒崎のことを思い出してしまった十和子は、黒崎の携帯に電話を掛けたのですが、彼が電話に出る前に十和子は電話を切りました。
黒崎は5年前に失踪、妻が暮らしているマンションを訪ねる
数日後、十和子のところに酒田刑事が訪れ、「黒崎の携帯に電話を掛けませんでしたか?」と尋ねられました。
黒崎には既に妻がいて、5年前に黒崎が失踪していたことを知った十和子は驚きます。
黒崎が失踪していることを知った十和子は、その日も水島とホテルへ行きました。
ホテルからタクシーで家に帰る途中、陣治が自分のことを尾行していることに気づいた十和子は、陣治のことが怖くなり美鈴の家に泊めてもらうことにしました。
その後、十和子は黒崎の妻が暮らしているマンションを訪ねると、黒崎の妻は「きっと夫は殺されていると思う」と話します。
家に帰ると陣治がお風呂場で血の付いた服を洗っており、それを見た十和子は昔も同じような光景を見たことを思い出しました。
翌日、水島から電話を受けた十和子は、水島の家のポストに見ず知らずの人物から変な贈り物が届いたと知らされます。
また、水島は顧客データが盗まれた可能性もあるとして、陣治の仕業ではないかと疑いました。
水島に「しばらく会えない」と言われてショックを受けた十和子は、デパートの前で水島を待ち伏せします。
その後、十和子は水島からプレゼントされた時計が安物だったことを知り、遊ばれていたことに気づきました。
十和子は過去の出来事を全て思い出す
デパートから家へ帰る途中、十和子を心配して迎えに来た陣治と出くわしました。
十和子が水島に変な贈り物をしたのは陣治かと問い詰めると、陣治はあっさりと認めました。
妻と別れると十和子を誘いながら、普段は子供や奥さんと楽しく過ごしていた水島に、陣治は「今、目を覚まさないと大変なことになるで」と説得しました。
それを聞いた十和子は「黒崎さんのことを言ってるの?」と尋ねました。
陣治は十和子と付き合い始めた当初、黒崎についてしつこく質問してきたこと、5年ほど前からパタッと黒崎の名前を出すことがなくなったことを思い出し、黒崎はどこにいるのかを尋ねます。
陣治は十和子に、5年前のことを話し始めました。
黒崎を殺して軽トラックに彼を乗せ、土をかぶせて埋めたと説明します。
十和子は陣治を攻め立て、「あんたが死ねばよかったんや」と言って泣き出しました。
翌日、十和子は美鈴に電話を掛け「いろんなことにケリが付けれそうで、大阪を離れることになりそうだ」と話していました。
そして十和子は水島に会いに行きました。
彼は顧客データが盗まれたと大騒ぎしていたのですが、それは彼の勘違いだったことが分かりました。
水島といるうちに黒崎のことを思い出してしまった十和子は、水島の背後からナイフでめった刺しにします。
すると突然、陣治が現れて十和子を全力で止めました。
陣治は水島に警察で陣治が刺したと言え、さもなくば不倫現場の写真をばらまくと脅します。
水島は血を流しながらその場から逃げ出し、十和子は自ら封印してきた過去のことを思い出しました。
黒崎と付き合っていたとき、彼の出世のため会社の実力者である國枝に貢物として十和子を捧げられたこと、黒崎が妻と結婚して十和子に別れを切り出したこと、別れを拒むと暴力を加えられたことを思い出しました。
職場に出入りしていた陣治と出会った2人は、大けがを負った十和子を見て陣治が一目惚れしました。
黒崎からひどい仕打ちを受けていた十和子は心を閉ざしてしまいます。
陣治の優しさに触れながら笑顔を取り戻し、一緒に暮らし始めたのですが、5年前に急に黒崎から十和子に連絡が入りました。
黒崎は別れるときに酷いことをしたと詫び、ずっと会いたかったと言われた十和子は素直に嬉しそうでした。
しかし、黒崎は金に困っていたため、再び十和子を國枝に捧げようとしました。
再び裏切られた十和子は絶望し、黒崎をナイフでめった刺しにして殺害してしまいます。
その後、連絡を受けた陣治が黒崎の遺体を埋めたのでした。
全てを思い出した十和子に寄り添う陣治は、十和子に醜い過去を全て持って行くと誓い、十和子に子供を産んで幸せになるように告げます。
その直後に陣治は柵を飛び越え、崖の下へと落下していきました。
映画ライタータイリュウの一言
愛する人を思うあまり、裏切られたときは酷い悲しみと絶望を感じたのではないかと思います。
相手が自分のことを好きだという気持ちを利用した黒崎は最低だと思いました。
十和子があまりにも可哀想なため、殺人を犯していても悲しさを感じました。
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