あらすじ
猫の主人である苦沙弥という貧乏な英語教師は、教師をやめたいと思いながら友人や生徒を招いて暮らしてました。
ある時、苦沙弥の旧門下生である寒月が金田という苦沙弥の気に食わない実業家の娘と恋をしていると聞いて猛反対します。
苦沙弥が娘の富子との結婚に反対してると探偵から聞いた金田の妻は、苦沙弥をこらしめてやろうとしました。
すると苦沙弥に数々の災難が襲い掛かります。
主な出演者
監督:市川崑 出演者:仲代達矢(珍野苦沙弥)、波乃久里子(細君)、島田陽子(雪江)、伊丹十三(迷亭)、岡本信人(水島寒月)、左とん平(多々良三平)、神山繁(鈴木藤十郎)、篠ひろ子(金田富子)、三波伸介(金田氏)、岡田茉莉子(金田鼻子)、ほか
実業家の令嬢との恋をする寒月に反対する苦沙弥:起
英語教師の苦沙弥を美学者の友人である迷亭が訪れていました。
苦沙弥は名前のない猫を描いていたが、途中で猫は他所へ行ってしまいます。
子供を3人抱える苦沙弥ですが、英語教師をやめたい気持ちでいました。
そこに苦沙弥の旧門下生で理学士をしている寒月が訪ねます。
ヴァイオリンで合奏した令嬢に恋をした寒月ですが、令嬢は病にかかって寒月の名前を口にすると寒月は言いました。
滅入った寒月は夜に橋を通りかかると、川の底から令嬢が寒月の名前を呼ぶ声がしたそうです。
そして飛び降りた寒月は、間違えて橋の真ん中に飛び降りていました。
恋してるのは苦沙弥の近くの中学で後援者をしている実業家の金田だと寒月が口にすると、教育を金儲けに利用してる金田を苦沙弥は気に入らない様子です。
苦沙弥家の近辺では知らぬ者のいない車屋の黒という、イタチ狩りに人生の全てを賭けている猫がいます。
また二弦琴の師匠の家にも三毛という猫がいて、苦沙弥の猫は三毛に惚れていました。
しかし三毛は黒に惹かれて、黒は英語教師の苦沙弥の猫を尊敬しています。
すると、隣から黒に鮭を奪われた車屋の女将の怒鳴り声が静寂を破りました。
寒月の様子を探りに苦沙弥を訪ねる令嬢の母:承
寒月に惚れた令嬢の富子に、母の鼻子は二弦琴の師匠に目利きをさせようとします。
二弦琴の師匠は、寒月が慕っている貧乏教師である苦沙弥の猫が三毛に会いにきて困っていました。
黒はイタチの最後っ屁を嗅がされ、岩で鼻を潰そうとします。
そこに車屋の女将を探偵にして調べていた鼻子が寒月の事を聞きに苦沙弥を訪れました。
鼻子はある奥さんに頼んで橋で寒月の気を惹かせる意地悪をしています。
鼻子が帰ると、苦沙弥と迷亭は鼻子をバカにして笑いました。
寒月らが苦沙弥を訪問すると、鼻子に会った苦沙弥と迷亭は富子を断念するように伝えます。
苦沙弥は絵画をやめて小説家を目指していました。
泥棒が苦沙弥の家に侵入して金品を盗んでしまいます。
訪れていた苦沙弥の元生徒は金田の元で働く事になり、泥棒に遭った苦沙弥に実業家か政治家にでもなったらどうかと提案しました。
苦沙弥は奥さんを愛していて、人一倍お金も欲しいのではないかと元生徒が問うと、図星を突かれた苦沙弥は怒って出ていきます。
気に入らない苦沙弥をこらしめようとする鼻子:転
教師に嫌気がさしてる苦沙弥は猫に愚痴を言って学校に行こうとしません。
苦沙弥は登校してすぐお茶を持ってくる人がお茶に指を入れるのを嫌がっていました。
学校では富子にいたずらで恋文を送った生徒がバレたら退学にならないかと苦沙弥に相談します。
すると苦沙弥は恋文を書いた生徒の事で校長から怒られ、事実なら生徒は退校処分にすると校長は言いました。
苦沙弥が迷亭と話をしていると、家に中学から苦沙弥の頭に球が飛んできて苦沙弥は激怒します。
鼻子は苦沙弥が未だに富子と寒月の結婚に反対してると知ってこらしめてやろうとしてました。
胃弱な苦沙弥の診察中に中学から大勢の生徒が球を飛ばしてきます。
生徒の一人が止めに来る教官にまだ目的を達してないと漏らすと、教官は生徒を帰らせていきました。
飼い猫が亡くなって小説を執筆する苦沙弥:結
その後も生徒たちは苦沙弥の家に球を飛ばし続ける中で知り合いの鈴木が訪れますが、金田の手下になっていると苦沙弥は知っています。
金田の差し金で苦沙弥の様子を伺いにきた鈴木に激怒して追い出しました。
猫をいじめた娘に苦沙弥は怒ります。
刑事が泥棒を連れてくると、苦沙弥は盗まれた物を返してもらえる事になりました。
鈴木は金田が阿漕なやり方で同業者や貧乏人を泣かせていた事で大臣にしないと伝えます。
猫を連れた家出中に入浴中の姪である雪江と遭遇した苦沙弥は、雪江の美しさに気付きました。
雪江を見て、見ていたようで何も見ていなかったという苦沙弥は家に帰ろうと思います。
そして鼻を潰したのが功を成してイタチを捕まえた黒のように生きると苦沙弥は決めました。
三毛が亡くなり、苦沙弥の猫は元気をなくします。
寒月は親が決めた相手と結婚し、苦沙弥の元生徒が富子と結婚する事になりました。
苦沙弥の猫は家にいさせてくれる苦沙弥に深く感謝しています。
そして水だと思い込んで酒を飲んだ猫は、酔っ払って水瓶に飛び込んで溺死してしまいました。
その後に苦沙弥は「吾輩は猫である」という小説を書きます。
映画ライターヒロキの一言
『吾輩は猫である』といえば日本人なら誰でも知ってるような有名な小説が原作となっていますね。
筆者は昔に原作を読んでみて難しかった印象のある古典です。
映像として観てみると、猫の主人はこんなにもお茶目な人柄だったんだなという新しい発見でした。
猫がたびたび登場するのも昔の作品にしては随分と親しみやすく、コミカルな内容に感じられましたね。
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