「海街daiary」のあらすじ
吉田秋生のベストセラーコミック「海街diary」を是枝裕和監督が実写映画化しました。
鎌倉に暮らす三姉妹は、父と母が家を出て行ってから祖母と3人で暮らしてきましたが、父の葬式でもう一人の妹すずに出会います。
すずは、14年前に家を出ていった父が残した娘でした。
3人ではなく4人になった姉妹の新たな生活が始まり、家族の絆を深めていく姿を描いた作品です。
主な出演者
キャスト:綾瀬はるか(香田幸)、長澤まさみ(香田佳乃)、夏帆(香田千佳)、広瀬すず(浅野すず)、加瀬亮(坂下美海)、鈴木亮平(井上泰之)、池田貴史(浜田三蔵)、坂口健太郎(藤井朋章)、樹木希林(菊池史代)、リリー・フランキー(福田仙一)、風吹ジュン(二ノ宮さち子)、堤真一(椎名和也)、大竹しのぶ(佐々木都)ほか
父の死、腹違いの妹・すずとの出会い
三姉妹の長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)は、鎌倉で古い2階建ての家に暮らしています。
ある日、15年前に家族を捨てて家を出た父が亡くなった、という知らせを受けます。
父は2回目の妻とも死に別れていて、再婚した3回目の妻と暮らしていることを知ります。
幸は仕事で行くことが難しいので、佳乃と千佳の二人で葬儀へ行くように伝えます。
葬式に向かう電車の中で2人は父親がいた頃の話をしますが、幼かった千佳はあまり覚えていません。
駅に着くと、話に聞いていた腹違いの妹・すず(広瀬すず)が駅まで迎えに来ていて、旅館まで案内してくれました。
翌日、夜勤で葬式には出席できない、と言っていた幸も駆け付けてきます。
火葬が終わり、煙突から出る煙を見ながら、三姉妹はゆっくりと父のことを話します。
葬式にはたくさんの人が訪れていたことから、父は幸せに暮らしていたのだろうと思えました。
しかし幸は父のことを「優しくて、ダメな人」と言います。
かつての父は友人の借金の保証人となり、しかも女性関係に甘く、そんな父親をいまだに許せないようでした。
葬儀も終わり、帰ろうとする三姉妹をすずが追いかけてきます。
「渡したいものがあって」とすずが渡したものは、父が持っていた三姉妹の写真でした。
それをきっかけに、幸はすずに「この街で一番好きな場所ってどこ?」と聞き、案内してもらいます。
連れて行かれたのは、すずがかつて父と一緒に訪れていた見晴らしの良い山の上でした。
そこから見る景色は、どこか鎌倉にも似ていました。
看護師でもある幸は、中学生ながらもしっかりしたすずを見て父の世話をしてくれていたのは、すずだったと気付きます。
三姉妹はすずに、「ありがとう」と優しく言います。
駅での別れ際に、幸はすずに「鎌倉で一緒に暮らさない?」と伝えます。
驚いてすぐには答えられないすずでしたが、三姉妹の優しい笑顔に「行きます」と力強く答えた瞬間に電車は発車しました。
鎌倉で四姉妹の生活が始まる
引っ越しも住んで、鎌倉の古い家での四姉妹の生活が始まります。
新しい中学に転校したすずはクラスにも馴染み、サッカー部に入り、その仲間とも仲良くなりました。
亡くなった幸たちの祖母の妹(樹木希林)は、すずを引き取ったことをよく思っていません。
幸に向かって「これでまた嫁に行くのが遅れるわ」と嘆きますが、幸は気にしていない様子でした。
しっかり者の長女の幸は、祖母が亡くなってからは妹たちの両親代わりとして、看護師になり働いています。
そんな幸も、父が浮気して自分たちを捨てて家を出て行ったという過去があるにもかかわらず、妻がいる医師の椎名(堤真一)と恋愛をしていました。
次女の佳乃は、信用金庫で働く恋とお酒が好きな女性です。
ダメな恋愛ばかりで、このときも大学生の朋章と付き合っていましたが、「もう少しマシな男を見つけてください」という伝言が留守電に残されていました。
朋章にはいつもお金を渡していて、フラれたあげく貸した金も返してもらえず、酒を飲んで荒れるのでした。
そして三女の千佳はマイペースで少し変わり者になり、スポーツ店『スポーツマックス』で働いていて、少し独特な浜田店長(池田貴史)と恋愛をしています。
すずのサッカーにも、店長と一緒に観戦に訪れています。
ある日、千佳はサッカーでゴールを決めたすずのお祝いで、梅酒で乾杯しようとします。
しかし梅酒には、佳乃は自分用に焼酎を入れていたことから、すずは酔っぱらってしまいます。
そしてこれまで溜まっていた鬱憤を、お酒の力もあって吐き出します。
目を覚ましたすずに、幸は「来年はすずのためにアルコール抜きのを作ってあげる」と約束して、4人で庭にある梅の木を眺めました。
母親からの連絡
庭の梅の木から実を収穫している4人の元に、叔母から電話がかかってきました。
音信不通だった三姉妹の母の都(大竹しのぶ)が、祖母の七回忌に来るとの連絡でした。
母親に対して友好的な佳乃と千佳とは対照的に、幸は母親に対して厳しい態度でもありました。
法要の後、家に戻ってくると都は突然四姉妹が住む家を売りたい、と言い出します。
これに幸は「この家を売る権利なんてあなたにはない」と強く反発します。
二人は言い合いになり、佳乃や叔母は仲裁に入ります。
「そもそも自分が出て行ったのは女を作って出て行った父親が原因だ」と、言いあいになります。
そしてこの家を守る責任があると言う幸に対して「意地になっているだけだ」と、幸と佳乃も険悪になります。
このやり取りを聞いていたすずは、自分の母親が幸たちの父親を奪ってしまったのだ、と申し訳なく思います。
夕飯の支度をするときに、幸はすずに「手伝って」と声をかけます。
そこですずは「ごめんない、うちのお母さんのこと。奥さんがいる人を好きになるなんてお母さん良くないよね」と言います。
すずを傷つけてしまったことを謝る幸でしたが、すずの気持ちは変わらないようでした。
次の日の朝、都は渡しそびれてしまったお土産を持って、四姉妹の家を訪れます。
そこには夜勤のため、遅い出勤だった幸だけがいました。
祖母のお墓は入りに行ってから帰るといった都に、幸は「一緒に行く」と言います。
お墓まで一緒に並んで歩きながら、都は「あそこはもう姉妹の家だね。私にとっては息苦しい場所だったけど、あなたたちには大切な場所ね」と話します。
都と別れる前、幸は祖母が亡くなる前に作っておいた梅酒と、今年の梅酒を渡しました。
「懐かしい」と喜ぶ都に、幸は「たまには鎌倉に帰っておいでよ」と言いました。
これからも一緒にいることを選らんだ四姉妹
仕事に生きると決めた佳乃は、信用金庫の窓口業務から課長について外回りの仕事を始めていました。
三姉妹が幼い頃から通っていて、思い出のある「海猫食堂」の二ノ宮おばさん(風吹ジュン)から、店を残していくという相談をされていました。
その報告のために再度海猫食堂を訪れたときに、病気が進行したおばさんは店を手放すことを決めたと聞かされたのです。
おばさんが病気になったことで気を落とす佳乃だったが、上司からの二ノ宮さんを支えるための新しいプランを提案され、気を持ち直しました。
ある日、幸は付き合っている椎名の部屋で、職場での他愛のない話をしていました。
すると突然椎名から、「アメリカに一緒に来てほしい。女房とは別れるから」と言われます。
幸は佳乃と千佳に相談しましたが、佳乃は妻の病気を言い訳に別れていないまま幸と付き合っていた椎名に、嫌悪感を持ち言い合いになります。
偶然その話を聞いてしまったすずは、自分が以前幸に話した母親のことで「奥さんがいる人を好きになるなんて良くない」と言ったことで、幸を傷付けてしまったのではないかと心配します。
言い合いにはなった幸と佳乃ですが、佳乃は千佳とすずと話し合い幸がアメリカに行けるように後押しをします。
皆の気持ちを知り、気持ちの整理ができた幸は椎名に「一緒に行けない」と伝えます。
以前から話のあった「ターミナルケア」を、きちんとやってみようと決意をしたのでした。
花火大会の当日、すずはクラスメイトで仲の良い男女4人と、船の上で花火を見ていました。
その帰り、クラスメイトの一人に「私、ここにいていいのかな」と尋ねます。
すずは今まで、自分の存在が周りの人を傷つけてしまっているのではないかと考えて、そのことに苦しんできました。
ある夏の日、幸はすずを連れて自分が昔父に連れて来てもらった山に登りました。
頂上で幸は「お父さんのばかー」と叫び、すずも「お母さんのばかー」と叫びます。
そして言いたいことや自分の気持ちをため込んでしまうすずに、これからはもっと気持ちをさらけ出すように諭します。
幸はすずに「ここにいてもいいんだよ、ずっと」と伝えます。
時は流れて、「海猫食堂」の二ノ宮おばさんの葬儀が行われました。
病気で亡くなった二ノ宮おばさんの死を悲しむ四姉妹は、葬儀の後、海岸に立ち寄ります。
押し寄せる波と、波打ち際にいるすずを見ながら、幸は「父は優しい人だったかもね、こんな妹を残してくれたんだから」と語ります。
それを聞いた佳乃と千佳も賛同します。
そして四姉妹は、仲良く波打ち際で戯れながら歩いていくのでした。
映画ライターHazuの一言
四姉妹の個性的なキャラクターと、この映画全体の柔らかい雰囲気がとても好きです。
鎌倉の街並みや古い家、食事や行事、風景なども日本的で、とても懐かしい気持ちになります。
特に女性は好きな感じの映画だと思います。
脇を固める役者さんたちも大物ばかりで、それぞれとても魅力的で四姉妹のキャラクターを活かしています。
「家族を捨てて家を出ていった父親の葬儀で、腹違いの妹に初めて会って一緒に暮らすようになる」という重い設定のはずが、あまりそれを感じさせません。
ただ派手な展開はないので、退屈だと思う人もいるかもしれないですね。
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