「チェインド」のあらすじ
チェインドはサスペンススリラー映画です。
ある日、主人公であるティムと母親は夫に車で送られ、映画を観に出かけます。
二人は映画を堪能した後、タクシーに乗って自宅へ帰ろうとしますが、タクシーは自宅とは別の方向、知らない道へと突き進んでいきます。
慌てる母親の言葉を聞かずに走り続けるタクシーは、次第に人気のない森の中へと入っていきました。
たどり着いた先にはぽつんと経つ一軒家があり、タクシー運転手はガレージに車を入れると抵抗する母親を引きずり出しました。
ここから誘拐犯と誘拐された子供の、奇妙な共同生活が始まります。
主な出演者
監督/ジェニファー・リンチ ボブ/ビンセント・ドノフリオ ラビット(ティム)/エイモン・ファーレン コナー・レスリー 幼少期のラビット(ティム)/エバン・バード他
誘拐された親子、殺された母親
9歳のティムは父親に送られ、母親と共に映画を観に訪れていました。
帰りにはタクシーで帰るようにと言われ、父親と別れた後、二人は子供向け映画を楽しく鑑賞します。
そして帰り道、迎えに来れない父親の代わりにタクシーを呼んだ母親、しかしやってきたタクシーは二人を乗せると見知らぬ道へ、どんどん突き進んでいきました。
母親の抵抗もむなしく人気のない森の奥の一軒家に連れて来られ、車をガレージに入れたタクシー運転手のボブは、母親を車内から引きずり下ろします。
自らの運命を悟った母親は、ティムに耳を塞ぐように言い聞かせました。
そして扉の向こうに連れていかれた母親は、しばらくすると空気を切り裂くような絶叫が聞こえます。
ガレージに一人戻ってきたボブにティムは母親の事を尋ねますが、二度と会えることは無いと言われてしまいます。
ティムは、涙を流す事しかできませんでした。
そうしてボブは静かに泣くティムを引きずり、自宅の中へと連れていきました。
ラビットと名付けられたティム、誘拐殺人犯との共同生活
ボブはティムの事をラビットと名付け、母親のように殺すことはしませんでした。
誘拐してから次の日に、ボブはティムに語り掛けます。
自らの命令を聞く事、絶対に命令に逆らわない事、殺した女たちの免許証を保管しておく事、行方不明者の新聞記事をスクラップにする事など、なすすべもないままティムは、その言葉に従いながら生活するようになりました。
望まぬ監禁生活でしたが、ティムにはある程度の自由は与えられていました。
家から出る事さえしなければ、室内での移動も好きにして良いという状態です。
そんなある日、ティムはボブが出かけた隙に脱走を図りました。
ようやく訪れたチャンス、しかし見えた出口の先にいたのは、出かけた振りをしていたボブでした。
絶望するティムに、ボブは改めて語り掛けます。
「お前の行動は全て読めている、命令に従わなけれなば殺すしかない」、ティムは大人しく家に戻りましたが、その日からはティムの足には鎖が巻かれるようになりました。
成長したティムと父親ごっこをするボブ
鎖で拘束されるようになってからも、ティムの仕事は変わりませんでした。
ボブが誘拐し、殺した女たちの免許証を取っておくことはもちろん、殺された女たちの後始末をするように命じられ、殺す瞬間も見ているようにと言われていました。
定期的に女性を攫ってきては殺すボブ、その後始末をするティム、そんな生活を送りながらティムは成年へと成長していました。
ボブは猟奇殺人者でしたが、ある時ティムに勉強をするように言いつけました。
賢くなるようにと、人体構造について書かれた本をティムに与えます。
さらにはティムの父親が既に新しい人生を始めている、という手紙もティムに渡しました。
もう自分を探してくれる人はいないと悟ったティムは、一心にボブから与えられた本を読むようになります。
勉強を命じられたティムは、ボブが女性を殺す現場を見ながら、ゆっくりと人体構造についての造詣を深めていきました。
そしてある日ボブはティムに「好みの女性は?」と、一冊の卒業アルバムを突き付けてきました。
ボブからの解放と、新しい真実
9歳から監禁されているティムにとって、女性の事など何も解からず答えに窮していましたが、あくる日ボブはティム用の女性である大学生のアンジーを連れ帰ってきました。
ボブは泣きじゃくるアンジーをティムに見せて、性行為を行うように命令します。
死体を埋める部屋にアンジーと二人で入れられたティム、外ではボブがティムの様子を伺っています。
アンジーは涙ながらに命乞いを行いました。
ティムはセックスする事もできずにオドオドと戸惑っていましたが、痺れを切らしたボブが部屋に入ってくる気配を感じ、アンジーにナイフを突き立てました。
ボブはそれを見て満足げに笑います。
翌朝ティムは、ボブを狩りへ誘い出します。
誘拐されてから初めての外を二人でドライブしますが、その車にはティムによって「HELP」という文字が書かれていました。
それに気づき激高したボブは、自宅にとって返すとアンジーが死んでいなかった事にも気が付きます。
ティムとアンジーはもみ合いになりながら、ボブを殺すことに成功しました。
そしてティムは、漸く父親がいる自宅へと帰ることができました。
しかしそこで、昔にボブから貰った父親の手紙の意味を理解しました。
父親が弟であるボブに、ティムと母親を殺すように依頼をしていたのです。
すべてを悟ったティムは、父親を殴り殺します。
その様子を目の当たりにした父親の再婚者は全てを悟り、その場からティムを逃がすのでした。
映画ライターhatiの一言
誘拐犯と被害者の奇妙な共同生活の中で、普通の子供であったティムの中に、ゆっくりと溜まっていくゆがみを静かに鑑賞することができます。
自らの心を押し殺して誘拐犯の命令を聞く少年がそのまま育った時、いずれ殺人を強要されそうになった時にどうするのか、そして加護欲を擽られた殺人者。
終盤からラストまでの展開が非常にテンポよく、ラストのシーンは特に生々しさを感じられる仕上がりになっていました。
コメント