「子宮に沈める」のあらすじ・ネタバレ・ラスト

ドキュメンタリー映画

「子宮に沈める」のあらすじ

3歳になる娘の幸と、小さな弟の蒼空と共に暮らす由希子の話。

どこにでもいる愛情深い母の姿から、孤独と育児に疲れ、変貌してゆく母の姿を映し出しています。

育児放棄にフォーカスを当てたこの作品は、実際に国内で起きた衝撃的な事件、大阪2児遺棄事件を元に作られた映画です。

子宮に沈めるの主な出演者

監督:緒方貴臣 出演:伊澤恵美子(由希子)、土屋希乃(幸)、土屋瑛輝(蒼空)、辰巳蒼生(幸の夫、俊介)、仁科百華、田中稔彦、ほか

愛する二人の子と、育児

物語は、下着についた血液を洗い流すシーンから始まります。

由希子は娘のリクエストに応えながら食事を作り、大好きなロールキャベツやオムライスを、仲むつましく頬ばります。

キャラ弁を作っては公園でピクニックをして、とても愛情深い母親の姿があります。

 

ある日旦那が帰宅したとき、由希子は夫からの愛情を求めます。

しかし「疲れているから、やめてくれ」と拒絶され、夫の俊介を平手打ちして怒りをぶつけますが、俊介はそのまま資料を持って再び家を出ていきました。

一人で二人の子を育て、自分自身の時間もないまま孤独と疲れを感じていきます。

離婚と、新たな仕事

彼と離婚後、由希子は二人の子供である幸と蒼空を連れて、新しいアパートで生活を始めます。

二人に、幸せなら手をたたこうを歌い聴かせながら、夕食の準備をします。

蒼空はまだ幼く泣くことも多い年頃で、幸は弟の面倒を見ながらも母の手伝いをしてくれる、しっかり者のお姉ちゃんです。

 

由希子は子供達が寝た後も医療事務の資格を取るために勉強に励み、編み物をしながらも普段通りの生活を送っていました。

そんな中で、高校のときの友人が家に遊びに来ました。

彼女はキャバクラで働いており、由希子にも夜の仕事を進めます。

 

彼女の一言をきっかけにして、夜の仕事を始めるようになりました。

由希子は帰宅時間も遅くなり、酔っ払って帰っては男を家に入れ、服装も徐々に派手になっていきます。

夜の仕事をしながらも朝食を作り、ある日蒼空をあやしながらも幸に朝食を食べさせていました。

 

蒼空に構う母を見て、幸はわざとミルクをこぼして母に怒られるのですが、幸はその日熱があり、仕事に行く前に母におかゆを食べさせてもらいます。

そして幸は夜遅くまで、あやとりをしながら母の帰りを待ち続けるようになっていきます。

帰宅しない母を待ち続ける幸

ある日、幸は母のドレスやハイヒールの靴、化粧道具を使って遊んでいました。

寝転がる弟に、母がしていた性行為を真似して母に怒られます。

「パパがいい」と泣き叫ぶ幸を放置して、由希子は蒼空をあやします。

 

そして幸にお昼ご飯は何がいいか、と尋ねます。

いつものようにオムライスをリクエストしましたが、以前のようにリクエストには応えず、チャーハンに変更しました。

大盛りのチャーハンを作り、幸の髪を結って家を出ていきました。

 

お腹を空かせる弟のために、母の真似をして粉ミルクを作って飲ませます。

幸も生き延びるために食べ物を探し、包丁を使って缶を開けようとしたり、ごみ袋の中から食べ物を漁ったりして腹を満たします。

 

終いにはマヨネーズを食べたり、弟のミルクを奪ったり、亡くなったマヨネーズのチューブに水を入れて飲むようになりました。

待っても待っても帰ってこない母を待ち続ける幸ですが、ついに弟は衰弱して動かなくなってしまいました。

母の帰宅

そしてついに母が帰宅します。

そのときには家中の食料はなくなり、家の中はいたるところで虫が湧いて、ゴミだらけでした。

幸は久しぶりに再会した母を咎めることもなく、「遅かったね」と駆け擦り寄ります。

 

蒼空は餓死して、腐敗していました。

由希子は無言で蒼空の遺体をガムテープで巻き、洗濯機に入れて洗います。

その間に沸かしていたお風呂に幸を入れ、溺死させました。

二人の遺体を編んでいたマフラーで優しく包み、座らせます。

 

そんな由希子のお腹の中には、新たな命が宿っていました。

マフラーを編んでいたかぎ針を自分の膣内に刺し、自身の手によって堕ろします。

由希子がシャワーを浴びると血が流れ、ようやく涙を流しました。

自分の子を3人も殺める母は、愛おしかったはずの幸と蒼空の遺体を、かつて作ったロールキャベツを思い出しながらレジャーシートで包むのでした。

映画ライターTOMの一言

実際に起きた事件では、母親は多くのメディアや世間からバッシングを受けたと言います。

もちろん我が子を見捨てる母親の姿は見ることすら辛く、信じがたいものではあります。

しかしこの映画では、様々な観点からストーリーを見ることができます。

最初は完璧だった母をここまで苦しめ、追い詰めたのは元夫です。

最初は生活のために始めた仕事だったかもしれませんが、愛に飢え、孤独と寂しさから仕事が唯一の息抜きになっていたのではないでしょうか。

 

どんな卑劣な行動をとる母親のことも待ち続け、愛し続ける娘の姿は、母親が出て行った当初は弟を守るためにも必死でしたが、生き残るために食べ物を探し求めて生き続けようともがきました。

どちらの姿を見ても、辛く心苦しさを感じます。

周りに頼ることのできる身寄りもおらず、母親の彼女一人に全てを背負わせてしまった実情と、現実を逃避したい彼女の姿に、虐待という一言で終わらせることのできない何かを感じました。

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