「鋼の錬金術師」のあらすじ
鋼の錬金術師は2001年から約10年間月刊誌に連載された、荒川弘の大人気コミックです。
アニメ化もされた作品を実写化しました。
錬金術とは、あらゆる物質を分解して新しいものに作り変える、魔法のような術のことです。
物語は錬金術が存在した、19世紀ヨーロッパ風の世界が舞台となっています。
仲の良い幼い兄弟が錬金術によって失った身体を取り戻すため、どこにあるのか分からない賢者の石を求めて旅をする壮大なファンタジー作品です。
主な出演者
山田涼介(エド)、本田翼(ウィンリィ)、ディーン・フジオカ(マスタング大佐)、蓮佛美沙子(ホークアイ中尉)、佐藤隆太(ヒューズ中佐)、小日向文世(ハクロ将軍)、大泉洋(ショウ・タッカー)、夏菜(ロス少尉)、水石亜飛夢(アル:声)、松雪泰子(ラスト)、本郷奏多(エンヴィィ)、内山信二(グラトニー)、國村隼(ドクター・マルコー)、石丸謙二郎(コーネロ)、原田夏希(ヒューズ中佐の妻)ほか
エルリック兄弟が錬成術を習う
ある時、草原の中の一軒家に住む、とても仲のいい幼いエドとアルのエルリック兄弟がいました。
突然、優しい母が亡くなってしまい二人きりになった兄弟は、母に今すぐにでも会いたい一心で、絶対にやってはいけないと教えられていた人体錬成術に手を出してしまいます。
激しい竜巻が起こり、家は壊れてアルは飛ばされてしまいました。
数年後、兄のエドはコーネロという赤い指輪をした教主を追っていました。
コーネロは、指輪の力で巨大な石の柱や獣を出して攻撃してきます。
エドもうまく軽い身のこなしで追い詰めていき、軍が現れて騒ぎは収まりました。
エドは最年少の国家錬金術師で、右腕と左足がオートメイルだったことから、「鋼の錬金術師」と呼ばれていました。
弟のアルは大きな鎧のような姿をしていても性格はとても優しく、破壊された街を錬金術で直していきます。
彼らと一緒に行動する幼なじみのウィンリィは、オートメイル技師として兄弟を支える、とても活発で明るい女の子でした。
エドたちがマスタング大佐の軍と東方司令部に到着すると、マスタングと同期のヒューズ中佐が密命を帯びて中央からやって来ました。
ハクロ将軍も登場して、エドや軍がずっと探し続けている賢者の石について、情報交換をし始めます。
エドの見た夢
その夜、エドたちはヒューズの家に急遽泊めてもらうことになりました。
夜中に目覚めたエドがドアを開けると、あの世のような世界に大きくて重厚な扉が映り、モヤっとした人影が見えました。
探していたものや真理を見せようと扉の中に引きずり込まれるのですが、そこには母親らしき姿がありました。
これは禁忌の錬金術の記憶のようなものでした。
幼い兄弟が集めたものでは人体錬成にまではとても足りなくて、錬金術の交換が行われず、化物のような母親の姿がありました。
エドは左足を失って血だらけになりながらも、今にも連れ去られそうな弟のアルを助けるため、自らの右腕と引き換えに魂だけを取り戻して、目の前にあった鎧に定着させました。
夢から目覚めると、近くには心配するアルがいました。
エドはアルの身体を取り戻すために、将軍から紹介されたキメラの権威であるタッカーの家を訪れます。
妻が出ていってしまったタッカーの家には、可愛い女の子と大きな白い犬がいました。
彼は今年こそ結果を残さないと、軍公認の資格が剥奪されてしまうと、非常に焦っていました。
研究のためにアルを残して、エドとウィンリィは軍の研究所に所属していたドクター・マルコーを探しに行きました。
マルコーには、ようやく会うことができたのですが、研究所のことは何も話したくないと言い、銃撃してきます。
そしてラストの鋭い爪の攻撃で、マルコーは殺されてしまいます。
彼の遺した言葉の第5研究所を調べるため、エドはウィンリィを残したまま戻ることになります。
第5研究所の捜査
アルのことを迎えにきたエドに、タッカーはキメラの生成に成功したことを告げます。
しかしエドが見たそれは、娘と犬を合成させたものでした。
出て行ったという妻も、タッカーは同じような実験台にしていました。
そんなタッカーをエドは殴りつけて、軍に引き渡します。
ヒューズとロス少尉、エドはそれぞれ第5研究所の捜査を始めました。
研究所を見つけられないで、いら立っているエドと自分の存在に大きな疑問を持つようになったアルの間では、殴り合いのケンカが始まってしまいます。
本音をぶつけ合った二人はウィンリィの仲裁により、お互いを何より大切に思っているということを再認識して仲直りしました。
軍の迎えで司令部に到着したエドは、ホークアイ中尉と共に軟禁されてしまいますが、二人は協力して脱出に成功することができました。
ヒューズはじっくりと地図を見ながら研究所の秘密に気づきますが、そこでラストに襲われてしまいます。
何とかそこから逃げ出して公衆電話からマスタングに連絡しますが、目の前にすでに自分の姿をしたホムンクルスとエンヴィが現れていて射殺されます。
エンヴィはすぐにマスタングに変身して、彼に罪を着せました。
そんな異変に気づいたマスタングは、捕虜収容所跡に向かうことになります。
部下を率いたロス少尉がそこへ立ちはだかりますが、焔の錬金術師の彼は手から炎を発生させて、ロスを火だるま状態にしてしまいます。
ロスの姿が見る見るうちにエンヴィに変わり、あと少しというところまで追い詰めたのですが、逃げられてしまいました。
本当の黒幕は
エドは、軍が進めていた秘密実験施設を突き止めることになります。
そこではウィンリィが捕らえられていました。
その場に逮捕されたはずのタッカーが現れて、この場所で軍によるひどい人体実験が行われていたことを語り始めます。
その後はラストが口封じのために、彼を殺してしまいます。
ラストたちやホムンクルスを操って、多くの実験を進めていたのはハクロ将軍だったのです。
人間の命を犠牲にして、やっとの思いで作り出されたのが賢者の石でした。
将軍はそれを使って、大量の戦闘人形を作り出していたのです。
そしてやっと、それを解き放つことができました。
笑顔で出迎える将軍に、すぐに襲いかかる人形たちでした。
あっという間に、将軍は人形たちに食い殺されてしまいます。
こんな人形を街に出すなとマスタングに命令されたホークアイでしたが、得意の銃でその人形の頭部を攻撃して、マスタングも火炎錬成で対抗しました。
アルは土塊で檻や壁を作って、人形たちが一歩も外に出ないようにしました。
エドはラストたちを追いますが、何回も再生するホムンクルスに、逆に追い詰められてしまうのです。
エンヴィの再生が遅くなっていることに気づいて、ホムンクルスが何度も生き返ることができないと見抜いたエドは激しい戦いの結果、ラストを倒すことに無事に成功しました。
真理の扉のある白い世界に、成長したアルの姿がはっきりと映りました。
エドは、人間の命で作られた賢者の石は使わないと決めて、アルの身体を取り戻す別の方法を探すことにしました。
そしてアルに謝り、再び2人で旅に出るのでした。
エンヴィの遺体からは、小さな生物が逃げ出していました。
彼は死んでいなかったようでした。
映画ライターりょうの一言
大人気漫画の実写化でしたが、全体的に観ると内容が濃くて素晴らしい作品でした。
前評判は散々でしたが、私としてはそうではありませんでした。
大泉洋が演じたタッカーは、映画の世界観をダークに引き立てていましたし、ホムンクルスも動くと良い味を出していました。
アニメファンからは学芸会みたいだと酷評でしたが、世界観はとても丁寧に作られていたとは思います。
兄弟愛の場面は泣ける場面が多くて最高でした。
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