「砂の器」のあらすじ・ネタバレ・感想

ヒューマンドラマ

あらすじ

東京で殺人事件が起こり、手掛かりが殆ど付かずに捜査は難航しました。 

そこで犯人の服と思われる布切れを汽車から撒いた女性を当たるも姿をくらませます。 

息子の証言によりやっと判明した被害者は、誰からも恨まれるような事のない警官でした。 

被害者は調べれば調べるほど非の打ち所がありません。 

謎ばかり深まる事件に、今西は被害者が面倒を見ていた親子の出生を調べると、驚くべき事実が発覚します。 

主な出演者

監督:野村芳太郎 出演者:丹波哲郎(今西栄太郎)、森田健作(吉村弘)、加藤剛(和賀英良)、緒形拳(三木謙一)、加藤嘉(本浦千代吉)ほか

手掛かりが殆どつかめない殺人事件が起こる:起 

東北弁と「カメダ」という手掛かりを元に、事件を追って今西と吉村は捜査に秋田の亀田まで来ていました。 

しかし、何の情報も得られませんでした。 

事件は東京で起こり、石の様な物で顔面を殴打された被害者の男性の身元も分かりません。 

東京に戻る列車で今西と吉村は、食事の席で有名な音楽家である英良と偶然出くわします。 

列車から紙吹雪をしていた理恵子を新聞で知った吉村は、紙切れが犯人の服ではないかとホステスをしている理恵子に会いに行きました。 

そこで吉村は英良と、同席している田所という女性を目撃します。 

しかし、ハンドバッグを取りに行った理恵子はそれっきり姿をくらませました。 

それから被害者の息子が父の遺体を確認して捜査は進展します。 

温泉参りに行ったきり被害者の彰吉はいなくなり、どうして東京にいたのか分からないと息子は言いました。 

彰吉は人の面倒見が良い警察官で、みんなから尊敬されて誰からも恨まれるような人ではないそうです。 

彰吉について捜査する今西:承 

東北では手掛かりがつかめなかった今西ですが、東北弁に似た出雲地方を知ります。 

そして今西は出雲地方に亀嵩という場所を見つけ、彰吉は亀嵩を中心に巡査を20年近く前にしていました。 

彰吉が警察として捕まえたのは田舎町で窃盗の一件きり、その犯人も世話をしてくれた彰吉を神様のように思っています。 

同僚からも慕われて、警察官の彰吉は非の打ち所がない人物でした。 

それから今西は亀嵩に向かって彰吉と親しかった桐原を訪ねます。 

他にも彰吉を知る17,8名の人から話を聞くも、彰吉が模範的な警官だったと実証するばかりでした。 

一方で吉村は理恵子が撒いた紙きれを見つけ出すと、それが血の付いた布切れだと判明させます。 

さらに布切れから調べた血液型は彰吉のO型と一致して理恵子の捜査が始まりました。 

明らかになる有名音楽家の真実:転 

今西は彰吉が面倒を見ていたという千代吉と子供の英良親子について話を聞きます。 

そのころ英良の愛人は子供を宿して英良に産みたいと伝えますが、英良は認めませんでした。 

すると愛人は流産して出血多量により亡くなります。 

今西は英良についての出生を調べますが、英良の本籍は震災で流れて自己申告していました。 

しかし、自転車屋をやっていた英良の両親には子供がいない事が分かります。 

代わりに夫婦は店員の子供を1人実の子のようにかわいがっていました。 

今西は彰吉が東京行きを決めて連日映画館にいた理由を突き止めようとします。 

そして彰吉が英良に会う目的で東京にいた事が判明しました。 

また、英良の愛人の理恵子は亡くなった後も身元不明なまま誰も気付かないでいました。 

英良を容疑者として尾行していた吉村は、亡くなった理恵子を訪ねていた英良の話を聞いています。 

壮絶な生活を経験していた犯人と父:結 

英良の本名は和賀英良ではなく本浦英良で、英良が3歳の時に父親の千代吉が当時不治の病とされたハンセン病になって母親は去っていました。 

千代吉は当時6歳の英良を連れて村を出ていきますが、どこも受け入れてもらえずに差別を受けては転々とします。 

野宿していた親子を、人情の厚い彰吉巡査は立ち退かせたりせずに面倒を見ていました。 

しかし英良は、彰吉の元を離れて大阪へ出て和賀に拾われ、順風満帆に暮らしています。 

その後、三木は余命僅かの千代吉を英良に合わせようと再会しました。 

今西は本浦に会い英良の写真を見せると、千代吉は知らないと言いながら昔の面影と重ねて涙します。 

一方で英良はコンサートでピアノ演奏しながら過去に思いを馳せていました。 

何としてでも彰吉は英良と千代吉を会わせようとしていましたが、英良は千代吉と会いません。 

英良と会えない千代吉を、唯一の通信相手として彰吉は英良に会いたがる千代吉を24年間慰め続けていました。 

今西と吉村は英良のコンサートに向かいます。 

英良は父親に会いたがってるのかと聞く吉村に、英良は音楽の中でしか父親に会えないと今西は言います。 

映画ライターヒロキの一言 

一番の見所は音楽だけを流して英良と千代吉が行く当てもなく旅をする場面でしょう。 

最初は英良と千代吉がなぜ差別的に扱われるのか分かりませんでした。 

今は治せるハンセン病は不治の病とされ、時代背景もハンセン病患者への視線は酷いものです。 

それを踏まえてみると何とも言えない感慨深い思いがこみ上げてきました。 

現代では考えられない壮絶な思いを体験してきた親子の本心は、作中で語られません。 

英吉と千代吉は一体何を考えて生きてきたのか考えさせられました。 

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