「若草物語」のあらすじ
芦川いづみ、浅丘ルリ子といった当時の四大女優が共演した映画作品です。
若草物語の原作、ルイーザ・メイ・オルコットの作品とは関係のない、三木克己による全くのオリジナルストーリーに仕上げています。
後妻を迎えた父に反発した四姉妹がそれぞれ上京し、四人の生き方や考え方、経験を通じて成長していく物語です。
既に結婚して幸せな結婚生活を送っていた長女・瀬川早苗の元へ、次女、三女、四女がやってきます。
そこから4人の新しい生活が始まるのでした。
主な出演者
監督:森永健次郎 出演者:芦川いづみ(瀬川早苗)、浅丘ルリ子(高村由紀)、吉永小百合(高村しずか)、和泉雅子(高村チエコ)、浜田光夫(矢坂次郎)、杉山俊夫(山本和雄)、和田浩治(野沢圭一)、山内賢(河野健吉)、伊藤雄之助(高村勇造)、東恵美子(高村弘子)、清水将夫(野沢章二郎)ほか
父・勇造の後妻に耐えられなくなり長女のもとへ三人が訪れる
大阪に住む高村家の四姉妹は、父・勇造が年の離れた後妻・弘子を新しい妻としてめとったことに反発します。
耐え切れなくなった四姉妹の次女・由紀と三女・しずか、四女であるチエコは既に結婚して東京で生活していた長女・瀬川早苗の元を訪れます。
父・勇造の身勝手な行為に耐えかねた三人は家を飛び出し、成田空港へと降り立ちました。
三人は、羽田空港でポルシェを乗り回している青年・野沢圭一に声を掛けられます。
そして圭一に、長女・早苗が住んでいる団地まで送ってもらうのでした。
三人は早苗に何の連絡もなしに突然やってきましたが、そのまま早苗の家に居候をすることになりました。
しかし困った早苗は、仕方なく貯めておいた貯金を使い、三人が住むためのアパートを準備してあげます。
三人は新しいアパートに引っ越しをして、東京での新しい生活が始まります。
大阪からやってきた三姉妹それぞれの恋愛や生き方が、ここから新たにスタートするのでした。
3人の新しい生活がスタート。就職が決った姉二人と水商売に走るチエコ
新しいアパートでの三人の生活がスタートし、ほどなくして次女・由紀と三女・しずかは、東京のデパートで就職が決まりました。
そして由紀としずかが仕事を終えて帰ってきた、ある日のことでした。
偶然にも、由紀の幼馴染である矢坂次郎に出逢うのです。
次郎は、東京でテレビの報道カメラマンとして働いていました。
以前よりも見違えるほどに成長した次郎に、由紀は心を撃たれます。
次郎は連日事件を追いかけるほど、多忙な日々を過ごしているのでした。
一方の四女・チエコは、なかなか就職先が決まらず、受けた試験も落ちてしまい躍起になります。
チエコは姉たちに内緒で、水商売であるアルサロで働き始めるのでした。
そこでチエコは酒を呑むようになり、度々深夜まで帰ってこなくなりました。
就職が上手くいかない苛立ちを、お酒を呑むことで紛らわしているかのようでした。
その様子を見た由紀としずかはチエコに働くように言いますが、チエコは全く耳を傾けようとしません。
結局始めた水商売の仕事も、長くは続かないチエコでした。
スキー旅行の翌日、父・勇造がアパートを訪ねてくる
三人が東京での新しい生活にも慣れてきた頃、三人と次郎、チエコの友人である河野健吉の5人は、皆で一緒にスキー旅行へ出掛けることにしました。
大阪育ちであまり雪を見たことのなかった三人は、雪遊びを思う存分楽しみます。
しかし途中で仕事の呼び出しがかかった次郎は、一人東京へと帰っていきます。
そんなときに三人は、羽田空港でポルシェを運転していた圭一と再会します。
彼の持つ豪華な別荘に招待されることになり、遊びに行くのでした。
圭一は資産家の息子で、この日はたまたま休暇のためにスキー場を訪れていたのです。
圭一の別荘は、今まで三人が見たこともないような豪勢な作りになっており、三人は素敵な一時を過ごしました。
しかし次郎の不在を寂しく思う由紀に、圭一は想いを寄せているのでした。
スキー旅行から三人が東京へと帰ってきた翌日、父・勇造が三人の住むアパートへと転がり込んできました。
話しを聞くと、後妻の弘子と喧嘩をしたというのです。
元々、勇造の再婚に反対していた早苗と由紀は、呆れて勇造を責め立てます。
チエコは何も言わず黙認するだけで、しずかだけが勇造をかばうのでした。
勇造は東京へと帰って行きますが、姉たちの呆れた様子にしずかはアパートを飛び出し、次郎の元を訪れます。
由紀は圭一と結婚し、しずかは次郎を追いかけていく
翌日、由紀はしずかが次郎のアパートを訪れたことに、憤りと激しい嫉妬感に包まれます。
由紀と恋仲である次郎は、ただ泊めてあげただけだ、と由紀に説明して謝罪します。
由紀は次郎の謝罪で一旦怒りを抑えるのですが、しずかが次郎に恋心を密かに抱いていたことが面白くありませんでした。
次郎の同僚である山本和雄は、しずかに恋心を抱きますが、しずかは次郎への想いを忘れられずにいました。
そして半ば強引に次郎の取材に帯同し、同行することになります。
一方で圭一は、すっかり由紀に惚れ込んでしまいます。
度々由紀の元を訪れる圭一に対して、しずかは由紀に次郎を大切にしてあげてほしいと言うくらいでした。
圭一は、遂に由紀にプロポーズします。
由紀はこのときは返事を保留にしますが、なかなか仕事で会えない次郎と別れて、圭一のプロポーズを受けることにします。
しずかは次郎への想いを捨てきれず、長期出張に向かった次郎を追いかけていくのでした。
早苗は親が決めた相手と結婚していたので、妹たちの自由きままな恋愛を羨ましく思いつつも、四女のチエコは相変わらず自由に過ごしているのでした。
映画ライターMRMの一言
四姉妹、それぞれの生き方や考え方、恋愛を描いているのですが、現代でも通じるような作品でした。
由紀と次郎が結ばれると思いきや、圭一の猛アタックに負けて結婚した由紀、しずかの次郎への想いを描いた最後の結末は、なんとも歯がゆい気持ちになります。
相変わらず自由奔放に生きているチエコと、既に親が決めた人と結婚した長女・早苗の生活の様子が伝わってくる、何とも言えない話です。
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